あんたは私の何を知る?

反逆と多趣味のDiaries

『限りなく透明に近いブルー』

 おはようございます。読書家に成り下がった男、べりべりもなもなです。先日、村上龍氏の『限りなく透明に近いブルー』を読了したので本日も感想文を提出したいと思い、筆を走らせます。

 

 まず書店で手を取り思ったことが、薄くね?ということである。先入観の塊の私が純文学小説に勝手に抱いているイメージは分厚くて訳のわからん文脈を延々に展開し、著者の世界の中で著者だけが理解できる虚像を彼らの良いように面白そうに書き上げているというものであった。しかし、この小説は文庫版で200ページ弱しかなく、そこで私は簡単に読むことができ、理解できるんじゃないだろうかと、先入観を書き換えた。

 

 ・・・・・・・・・この小説やばい。最初の20ページはとにかく吐き気を催す。終電間際の車内で嘔吐しているサラリーマンは実は酒に酔っているのでは無くて全員この小説を読んで気分を悪くしているのではないんじゃないか?酒、ドラッグ、SEXに溺れる若者を描いた当作品、もう二度と読みたくない。酒を飲みながらこの小説を議論する会でも開いたら、参加者全員もろとも病院送りになることだろう。

 

 

 昔働いていたバイト先の店長が飲み会でスカしている評論家気取りのスタッフに「いお前妙に斜に構えた佇まいしやがって、村上龍か!」とダル絡みをしていたが(私はその店長が嫌いで店を辞めた)そんなはずはない。彼が200ページ足らずで人間の心を大きく動かす村上龍なはずがない。あの人は本物の天才だ。賛否両論はあったものの、処女作で芥川大賞受賞。バケモンである。

 

 とにかくこの作品を読みなさい。わけが分からなくても凄さは分かる。私たちとは明らかに一線を引いている天才がこの世にいるということも分かる。彼の芸術性なんて常人には理解できない。天才とはエゴの塊。端的に言って脱帽である。

 

 物語終盤で大きな鳥が出てくる。社会をその大きな鳥に見立て、これを殺さなければと主人公は叫ぶ。なぁ村上さんよ。この内臓まで腐りきった日本っていう大きな鳥をあんたの手で葬ってくれないか?頼むよ村上さん。あんた天才なんだろ?それくらい朝飯前だろうよ。

 

 

 

 

 そう言えば、気に食わないことがあると一方的にブチギれ、すぐに反省し自分に絶望していたアイツは元気かなぁ。なんでこいつはこんなに不安定なんだ理解できない。と当時は彼に対して負の感情を抱くこともあったが、それもそのはずである。彼は村上龍と同じ舞台に立つ資格を持った天才なのだから。村上さんが出来ないならお前が鳥を殺してくれよ。それをあの日々の恩返しにしてくれよ。

 

 お前ならできるよ。お前は「限りなく天才に近いキチガイ」なんだから。

 

 

 

                                    bye♩